摂南大学農学部 園芸科学研究室
Laboratory of Horticultural Science
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研究内容
当研究室の主な研究内容を紹介します。ラボにおける分子生物学的なアプローチから、生産現場での実用化まで、幅広い研究を展開しています。
養液栽培によるカリウム制御野菜に関する研究
慢性腎臓病患者は人工透析をしながら、日々厳しい食事(カリウム)摂取制限を受けています。高カリウム食品であるメロンやサツマイモ(焼き芋)などは食べたいけれど食べられないものです。
そこで、養液栽培技術でカリウム肥料を制御し、低カリウム化を実現しています。また、アスリート(筋肉を動かすためにカリウムが必要)や高血圧症患者(ナトリウムを排出)のために高カリウムサツマイモの研究開発を行っています。
低カリウムメロンは今まで培養液を垂れ流してきましたが、環境保全、肥料や水などの資源の有効活用などから、培養液循環型養液栽培方式について検討しています。また、サツマイモについては露地型養液栽培や培地の検討を進めています。
低カリウム野菜としてイチゴについても島根県安来市のイチゴ生産者と共に研究開発を行っています。
(浅尾)
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園芸植物の自家中毒に関する研究
植物体からは様々な化学物質(アレロパシー物質)が出ています。他の植物との競合で働く化学物質(他家中毒物質)や連作障害の原因物質(自家中毒物質)などがあります。
イチゴやレタスの養液栽培では根から出ている安息香酸などの生育抑制物質(自家中毒物質、アレロパシー物質)が蓄積するために培養液を廃棄し、環境汚染に繋がっています。そこで、抑制物質を交流型電気分解で除去し、培養液のリサイクルを行い、真の循環型養液栽培を実現しようとしています。
(浅尾)
サクラ属果樹の交雑障壁に関する研究
新しい作物を生み出す際に、同じ種どうしの交雑では導入できる形質に限りがあります。そこで注目されるのが異種間の交雑ですが、ウメ、スモモ、モモなどのバラ科サクラ属果樹においては、種間交雑が可能な組み合わせも存在するものの、中には交雑個体が正常に発達しないもの、雄性不稔性などの生殖形質異常が後代で現れるものもあります。
それらの生殖隔離メカニズムを解明するため、遺伝解析や分子生物学的なアプローチを行い、新奇な園芸作物の創出を目指しています。
(北村)
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ウメの開花予測技術の開発
落葉果樹には、冬季に十分量の低温に遭遇しなければ開花・萌芽が起こらない、「自発休眠」という性質があります。さらには近年の地球温暖化により、その開花期が安定しないという問題も顕在化しています。
そこで、春先のサクラの開花予想と同様に、ウメの開花期を予測するモデル開発を進めています。品種ごとの花芽の温度要求量を実験的に数値化し、その遺伝要因の特定も並行して行うことで、ウメの開花現象に関する総合的な知見を得ることを目指しており、将来的な栽培適地の予測や温暖化適応品種の育成を目指しています。
(北村)